患者さんインタビュー

Vol.2手術、そして回復へ モチベーションの源

主治医の先生と相談して受けた手術

細貝選手:畑尾選手は、CTEPHにまでは進行していなかったのですか?

畑尾選手:そのまま放置していたらCTEPHになって、おそらくサッカーはできなくなっていたと思います。

細貝選手:手術を受けたとのことですが、いつ頃ですか?

畑尾選手:診断を受けたのが2012年の11月で、その翌年の9月に手術を受けました。この手術は、基本的には日常生活に影響がある人が受ける手術で、ご高齢の方が多いんです。僕の場合は、日常生活にはさほど影響してはいなかったものの、プレーにはかなり支障が出ている状態でした。

畑尾選手:でも、アスリートである僕にとって日常生活に困らなくてもサッカーができないのは致命傷です。そんな僕の立場を理解し、手術が有効なのかを主治医の先生が真剣に考えてくれて、それで「よし、やりましょう」となったのです。

細貝選手:手術の後、しばらく入院したのですか?

畑尾選手:手術後はすぐに退院できました。先生によれば、一般的に僕が受けた手術では、さほど長く入院しないそうです。

細貝選手:それから徐々に、運動や練習をスタートしたのですか?

畑尾選手:最初は走れるのがとてもうれしくて、とりあえず1回ダッシュをしてみようと思ってやってみたのですが、前につんのめりそう になってしまって(笑)。自分の頭のなかにあったスピードが、状態の良い時のスピードだったので。気持ちだけが先に行ってしまって、体が追い付いていなかったんです。

細貝選手:いまも毎日、薬を飲んでいますか?

畑尾選手:練習や試合に合わせて血液を固まりにくくする薬を飲んでいます。それにバス移動などで、同じ姿勢でいる時間が長いと血液が固まりやすくなってしまうので、こまめに水分補給をしています。

サッカーをしたいというモチベーション、家族、ファンの方の支えが治療の励みに

細貝選手:なるほど。日頃からいろいろと気をつけているんですね。治療中、励みにしていたことはありますか?

畑尾選手:やはりもう一度、全力でサッカーがしたいというのが一番でした。でも、それだけでは弱いというのも痛感しました。本当にサッカーができるようになるのかという不安もあって、モチベーションを保つのが難しいこともありました。そういった時、やはり一番の支えになったのは、幼い時から応援してもらっている家族を思うことでしたね。

細貝選手:挫けそうになることも当然あったと思いますが、どうやって乗り越えてきましたか? 仲の良い友達に相談したりとか。

畑尾選手:当時、自分の同期がすでにJリーグで活躍していたり、企業に就職して働いていたりしたので、同期を羨ましく思ったり、負けたくないという気持ちもあったりもしました。ちょうどそんな時、テレビで特集をしてもらったことがあって、放送後にツイッターなどで知らない人たちから、「がんばってください」などの励ましのメッセージをたくさんもらうようになって。どれほど勇気づけられたか分かりません。

細貝選手:スポーツ選手にとって、ファンの応援は大きいですよね。僕はいま海外にいるので、日本人のファンから直接、顔を合わせて「応援している」と言われることは多くないですけど、それでもいろいろな苦難に直面しているときには、ホームページなどにもらうメッセージをみています。ひとりで戦っていくと思うと苦しいですけど、応援してくれる人がいればなんとか乗り越えていけると実感しました。自分が様々な人に支えてもらった分、僕も苦しんでいる人を何かで支えていきたいなと思うようになって、このCTEPHの啓発大使をやらせてもらっています。