抗凝固療法
未治療の場合のCTEPHの予後は、血行動態重症度が高いほど不良であり、軽症例でも、経過とともに血行動態が悪化する症例があることが報告されています。この原因として、急性PTE再発の関与や肺動脈での血栓形成の関与が考えられています。そのため、CTEPHではPEAやBPAなどの実施の有無にかかわらず、永続的な抗凝固療法が必要です。ワルファリンの投与量は、急性PTEに準じて調整される場合が多いですが、抗凝固療法の有効性を示す明瞭なエビデンスは得られていません。また、CTEPH に対する直接作用型経口抗凝固薬の有効性や安全性を示すエビデンスも存在しません。
CTEPH患者に対する抗凝固療法の有用性について、Romaszkiewiczらは新規CTEPH患者(抗凝固薬未使用、PEA未実施)を対象に抗凝固薬を投与し、投与1年後の心機能および運動耐容能を調査した結果、ともに有意な改善が認められたことを報告しています(表)2)。
表 抗凝固薬投与前と投与1年後における心機能および運動耐容能
