ガイドラインにおける内科的治療の位置付け
肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)では、CTEPHにおける内科的治療の位置付けについて、図のように示されています1)。
CTEPHに対する内科的治療は、抗凝固療法や酸素療法などが基本となりますが、PEAやBPAの適応とならない症例や、PEAやBPAの施行後に肺高血圧が残存するCTEPH症例に対しては、血管拡張療法が用いられます。
これまでは、CTEPHに対してCa拮抗薬や亜硝酸薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬など血管拡張療法も用いられてきましたが、これらの有効性を示すエビデンスは得られていませんでした。
CTEPHに対しては保険承認をもつ肺血管拡張薬はありませんでしたが、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤(リオシグアト)が世界で初めて保険承認され、わが国でも、2014年1月に「外科的治療不適応又は外科的治療後に残存・再発した慢性血栓塞栓性肺高血圧症」を適応症として保険承認されています。現在、CTEPHに対する肺血管拡張薬の第一選択はリオシグアトであるとされています1)。