CTEPHってどんな病気?
CTEPH(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)について
CTEPHってどんな病気?
肺高血圧症の一種で、肺と心臓の病気です。
CTEPHとは
CTEPHは、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(まんせいけっせんそくせんせいはいこうけつあつしょう) (chronic thromboembolic pulmonary hypertension)の略称で、「シーテフ」と呼ばれています。名前からは想像しにくいかもしれませんが、CTEPHは、 “肺と心臓の病気”で、生活習慣病の高血圧とは異なります。
CTEPHでは、肺の血管の内側に血のかたまり(血栓)が詰まり、血液が流れにくくなって、肺動脈(はいどうみゃく)へかかる圧が上昇する“肺高血圧症”と呼ばれる状態が続きます。肺と心臓の血液の流れが悪くなるので、息苦しさや身体のだるさ、胸の痛みなど様々な症状があらわれます。 治療法としては、血栓を取り除く外科手術や、カテーテル(中が空洞の細く柔らかい管)で血管を広げる治療が行われており、また最近では肺動脈を広げる作用を持つ内服薬での薬物治療もあります。
血栓と塞栓
CTEPHは、血栓によって肺の血管が詰まることから始まります。
血液はもともと固まる性質を持っていて、怪我をしてもその部分の血液がすぐに固まり(凝固(ぎょうこ)といいます)、出血を止めることができます。ところが、何らかの異常によって、血管の内部に血のかたまりができることがあります。これが血栓です。 その血栓が、血管からはがれて血液の流れに乗り、その先の別の血管に詰まってしまうことを塞栓といいます(図1)。
通常は、こうした血栓は身体の自然の働きによって溶かされるのですが、血栓が何度も繰り返し詰まったり、溶け方が不十分であったりすると、こびりついた血栓が固くはがれにくくなり、器質化と呼ばれる溶けにくい状態になります。
図1 血栓と塞栓
肺の血管に血栓が詰まるメカニズム
CTEPHの多くは、腕や脚(あし)などの太い静脈にできた血栓が、血流に乗って心臓に達し、さらに心臓から肺へ運ばれると考えられています。この血栓が溶けずに残り、肺の血管の内部を狭くしたり、ふさいだりして、血液を流れにくくするのです(図2)。
肺の血管の血液が流れにくくなると、肺動脈の血圧(肺動脈圧)の上昇、すなわち肺高血圧症につながります。
図2 血流と肺血栓
コラム 肺高血圧症の種類
肺高血圧症にはいろいろな種類があり、大きく5つに分類されています。CTEPHはその中の1つです(表1)。CTEPHのように血栓が原因となる以外にも、膠原病(こうげんびょう)や先天性心疾患、肺疾患など、様々な病気によって肺高血圧症は引き起こされます。しかし、どのように起こるのかなど、分からないことも多く、現在も世界中で研究が行われています
表1 肺高血圧症の種類