患者さんインタビュー

Vol.1CTEPH(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)と診断されて:症状、診断から治療まで

CTEPHと診断されるまでに大変な苦労があった

細貝選手:CTEPH(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)という病気のことは、啓発大使のお話をいただくまで知りませんでした。吉田さんは、ご自身がこの病気になられるまでCTEPHについてご存知でしたか?

吉田さん:私も、病名すら聞いたことがありませんでした。普段から新聞や雑誌などはよく読みますし、病気に関する情報もたくさん目にしますが、息切れや息苦しさといった症状が重い病気につながるだなんて思いもしませんでした。

細貝選手:最初にかかったクリニックでは喘息と診断されたそうですね。

吉田さん:そうなんです。CTEPHは患者数が少ない病気[*1]のせいか、実際に診療の経験があるのはほとんどが専門医の先生とのことです。ですから、CTEPHと診断するのは難しかったようです。

細貝選手:その後、入院先の病院で肺高血圧症[*2]と診断されてからも、専門医の先生に出会って治療を受けるまでに、随分ご苦労されたようですが。

吉田さん:肺高血圧症について書かれた本を読んで専門医の先生を調べたり、実際に足を運んで相談したりもしましたが、治療をしてくださる先生にはなかなか出会えませんでした。幸い、現在の主治医である循環器科の先生を呼吸器内科の先生からご紹介いただき、治療を始めることができました。

  • *1 医療受給者証交付件数による認定を受けた患者さんの数は、1,810名(2012年度)。認定を受けていない場合も含めると、患者さんの数はさらに多いと考えられる。
  • *2 心臓から肺へ血液を送る血管(肺動脈)の血圧が高くなる病気。CTEPHは肺高血圧症の一種。

突然の入院に家族はとても驚いた

細貝選手:体調不良の原因がCTEPHだと分かったとき、どんなことを思われましたか?

吉田さん:病気になったのは、下の子がまだ小学校6年生の時でしたので、落ち込んだりくよくよしたりしている暇がありませんでした。どうしたら早く元気になれるのかを考えるのに必死で、気が張っていたんでしょうね。

細貝選手:僕には腎臓を患っていた兄がいるので、病気のご家族がいる方の気持ちはよく分かるのですが、吉田さんがCTEPHという病気になって、ご家族はとても驚かれたのではないですか。

吉田さん:そうですね。CTEPHになるまで、私はとても健康だと思っていたし、家族もそう思っていました。体調に異変を感じるようになってから、冷や汗をかいて家で横になったりすることもありましたが、地域のスポーツクラブに参加したりもしていたので、子どもたちは私が大変な状態だとは思っていませんでした。それがある日突然入院となったので、とても驚いたようです。私自身も驚きましたが。

細貝選手:スポーツがお好きで活動的ということですから、なおさらですね。

吉田さん:しかも、聞いたこともないような病気ですから。3カ月間入院しましたが、その間、家族はとても大変だったと思います。退院後も24時間酸素吸入が必要な状態だったのですが、退院時に私が酸素吸入のチューブを付けたまま帰ってきたのが、下の子にはとてもショックだったようです。

細貝選手:吉田さんご自身も大変だったでしょうね。

吉田さん:そうですね。酸素吸入器を外せなかったので、下の子の卒業式と入学式には出席できませんでした。手術をしてからは24時間ずっと酸素吸入をしているということではなくなったので、少し負担はありましたが、まずは保護者会に参加しました。それから、息子が中学、高校の6年間、保護者会に継続して参加することを目標に頑張りました。

話をするだけで息切れすることも

細貝選手:手術後の日常生活はいかがでしたか?

吉田さん:ずいぶん慣れてきましたが、酸素吸入器を付けたまま歩いていると、人から重病人だと見られてしまう、それがつらいですね。酸素吸入なしで動くには制限があるので、遠出する際には酸素ボンベは持ち歩かなければいけませんが、使う機会をなるべく減らして、人から病人という印象をあまり強く持たれないように気を付けています。

細貝選手:今こうしてお話をしているだけだと、とてもご病気だとは分かりません。

吉田さん:そうかもしれませんね。でも、体調が悪いときはこうしてお話をしているだけでも、息切れをしてしまうこともあるんですよ。

細貝選手:話をしているだけでというのは大変ですね。

吉田さん:横になって寝ているときや家事の合間など、何か特別なことをしたわけではないのに、急に息苦しくなってくることもあります。

細貝選手:ということは、常に予測がつかない中で調子が悪くなった場合に備える必要があるのがCTEPHという病気なんですね。