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内科的治療(内科的治療の実際)

低酸素血症に対する治療(在宅酸素療法)

低酸素血症に対する治療(在宅酸素療法)

CTEPHでは、血栓による肺血管床の血栓性閉塞性に加え、低酸素血症に伴う低酸素性肺血管攣縮が肺高血圧値に影響を及ぼしている可能性があります1)。肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)では、CTEPHに対する酸素療法の推奨レベルをⅡb-Cとしていますが、酸素療法は低酸素血症の是正による自覚症状の改善や、低酸素性肺血管攣縮の改善によりある程度の降圧効果が期待できる場合があります1)。日本では、CTEPHに対してHOT(home oxygen therapy:在宅酸素療法)の保険適用が認められています1)

Leuchteらは、PAH、CTEPHおよび肺疾患に伴うPHの患者104例を対象に右心カテーテル中の酸素療法に関する予後を検討した結果、右心カテーテル中の酸素投与により心拍数が72回/分未満になった患者群では、72回/分未満にならなかった患者群に対し有意に良好な予後が得られたことを報告しています(図)2)。東京大学医学部附属病院においても、CTEPHの患者26例(男:女=9例:17例、平均年齢57.2±12.8歳)に対して、右心カテーテル中に酸素10~15L/分の吸入を行ったところ、有意な心拍数および肺動脈圧の低下を認めました(表)。

図 右心カテーテル中の酸素投与による予後

右心カテーテル中の酸素投与による予後

試験方法:
肺高血圧症患者104例(PAH:56例、CTEPH:22例、肺疾患に伴うPH:26例)を対象に右心カテーテル中に酸素を投与し、心拍数が72回/分未満になった群とならなかった群の2群間における予後(生存率)を比較した。

平均生存期間42.3カ月(CI:33.5~51カ月) P<0.05

Leuchte,H.H. et al.:Respiration85(5):400-407,2013より改変

表 CTEPH患者の酸素吸入による血行動態の変化(n=26、東京大学医学部附属病院のデータ)

CTEPH患者の酸素吸入による血行動態の変化(n=26、東京大学医学部附属病院のデータ)

(波多野先生提供)

略語

  • CTEPH: chronic thromboembolic pulmonary hypertension:慢性血栓塞栓性肺高血圧症
  • PAH: pulmonary arterial hypertension:肺動脈性肺高血圧症
  • PH: pulmonary hypertension:肺高血圧

References

  • 1)循環器病の診断と診療に関するガイドライン(2011年度合同研究班報告)肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)
  • 2)Leuchte, H.H.et al.: Respiration 85(5):400-407,2013