CTEPH.jp 医療関係者の方

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内科的治療(内科的治療の実際)

抗凝固療法・血栓溶解療法

 

抗凝固療法

CTEPHでは、経過とともに肺血行動態が悪化する症例が存在します。この原因として、肺血栓塞栓症の慢性的・反復的な再発や肺動脈における血栓形成が考えられています1)。そのため、CTEPH治療では血栓再発予防と二次血栓形成予防を目的にワルファリンによる抗凝固療法が行われます。肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)では、CTEPHに対する抗凝固療法の推奨レベルはI-Cであり1)、生涯にわたる治療が行われます。

ワルファリンの投与量は、急性肺血栓塞栓症に準じた投与量であるPT-INR(prothrombin time-international normalized ratio:プロトロンビン時間-国際標準比)1.5~2.5が治療域とされていますが、投与量に関しては具体的なエビデンスはありません1)
CTEPH患者に対する抗凝固療法の有用性について、Romaszkiewiczらは新規CTEPH患者(抗凝固薬未使用、PEA未実施)を対象に抗凝固薬を投与し、投与1年後の心機能および運動耐容能を調査した結果、ともに有意な改善が認められたことを報告しています(表)2)

表 抗凝固薬投与前と投与1年後における心機能および運動耐容能

抗凝固薬投与前と投与1年後における心機能および運動耐容能

※RVED/LVED(end-diastolic right ventricular dimension:右室拡張末期径/end-diastolic left ventricular
dimension:左室拡張末期径)

Student’s t-test

試験方法:
単一施設、レトロスペクティブ
新規CTEPH患者(抗凝固薬未使用、PEA未実施)29例(男性9例、女性20例:37~82歳)を対象に抗凝固薬を投与し、投与1年後の心機能および運動耐容能を調査した。

Romaszkiewicz. et al.:Kardiol.Pol 64(11):1196-1202,2006より改変

血栓溶解療法

器質化した血栓により肺動脈が狭窄・閉塞するCTEPHでは、定義上、血栓溶解療法は無効です。しかし、経過中に病状が急速に悪化した場合は、acute on chronic PTE(慢性反復性血栓塞栓症の急性増悪)といわれる病態を考える必要があります。
Dダイマーなどの凝固-線溶系分子マーカーが高値の場合には、血栓溶解療法により症状が軽快する可能性があるので、症例によっては試みる価値はあります1)

略語

  • CTEPH: chronic thromboembolic pulmonary hypertension:慢性血栓塞栓性肺高血圧症
  • PEA: pulmonary endarterectomy :肺動脈血栓内膜摘除術

References

  • 1)循環器病の診断と診療に関するガイドライン(2011年度合同研究班報告)肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)
  • 2)Romaszkiewicz,R. et al.:Kardiol.Pol 64(11):1196-1202,2006